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救いたい命があるから! みんなで取り組むカンボジア救急医療支援!

NPO法人サイド・バイ・サイド・インターナショナル カンボジア所長 佐々木 明子さん

プノンペン赤十字での救命講習会で教える佐々木明子さん

佐々木明子さんはサイド・バイ・サイド・インターナショナル(SBSI)のカンボジア所長として2013年からプノンペンに単身赴任しています。ご主人の佐々木浩二さんは同団体を創設して、25年間、カンボジアの緊急医療支援を実施してきました。

カンボジアは1975年から4年も続いたポルポト政権下に虐殺などで多くの国民が死亡し、医療者もブルジョア階級とみなされ、大半が処刑されたり国外逃亡して、同国の医療と教育は大いに遅れをとりました。
カンボジアは随分と発展しましたが、高度な知識と技術を持つ医療者と医療機器を備える病院は決して多くはありません。日本でなら救われたはずの命が今も失われているのが現状です。

そこでSBSIは長年にわたり公立病院や慈善病院、プノンペン市に日本の救急車や医療機器を、大学や辺鄙な地域の学校などには教材や教育機器を寄贈してきました。佐々木明子さんがカンボジアに駐在するようになってからは、さらに国立病院や州立病院その他で医療者向けの医療講習会も開催してきました。

王宮前の救護所で待機するSBSIから寄贈された救急車

うれしいことに、日本の学生団体もカンボジアでの活動を支援しています。東京の学生団体などが診療所建設支援や救急車や医療機器寄贈支援を後押ししてきました。コロナ禍で大変苦しい時期にも、救命講習会で使う訓練人形などをカンボジアに届けてくれました。

また、SBSIは2年前からカンボジア赤十字プノンペン支部で若いボランティアのための講習会を幾度も開催してきました。日本の医学生が講師になったこともあります。

プノンペン赤十字での救命講習会にて
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最近では佐々木さんの念願だった新生児医療支援にも乗り出しています。きっかけは香川大学の学生団体が高価な新生児蘇生人形を寄贈してくれたことでした。医学部の学生も多く、新生児の命を救いたいという佐々木さんと学生たちの思いが重なって、昨年は日本の医学生たちとベトナム国境に近い州立病院で新生児蘇生講習会を実現できました。講師は首都の国立病院の心臓専門医でした。

産科では今も出産したばかりのお母さんが、枕の下に持ち込み禁止のナイフをしのばせていることがあります。悪魔に赤ちゃんを奪われないように、と。これは高い新生児死亡率が背景にあってのことです。
高度なNICUは全国に数えるほどしかないため、そこに到着する前に亡くなる未熟児や急病の赤ん坊もいます。地方の救命率をあげることがSBSIの願いです。

国立病院での新生児蘇生講習会にて
カンポット州の州立病院で教えるカンボジア人専門医

最後に、佐々木明子さんは最近、とても感動したことがあるそうです。それは、カンダル州の川の中州のルムドア島での救命講習会でのことです。
近くの島で、お粗末な通学船が定員オーバーで沈没。10代の11人の子供たちの命が奪われました。通常、カンボジアの学校にはプールがないため、国民の多くは泳げないのです。また、地方で救命法を知る人はほとんどいません。
ルムドア島は虐殺時代に、1万人が連れて来られて処刑されたそうです。そこに住み着いた住民の多くは貧しく、読み書きできない人たちもいるのですが、夫を水難事故で失った未亡人たちも含めて、母親たちは非常に熱心に救命法やペットボトルを使った救助法を学びました。

佐々木さんは学校にも行けなかった人たちが、自分の子供にも救命法を教えているのを見て、命を救うのに学歴などいらないのだと確信したそうです。
カンボジアでは、教育や医療の原点を見ることができます。できるだけ多くの日本人の方に来て体験してもらえたら、または支援していただけたら、と佐々木さんは願っています。

ルムドア島で救命講習会に出席した母親

特定非営利活動法人サイド・バイ・サイド・インターナショナル
日本や海外で、貧困や災害その他の困難な状況に直面している人々の生活向上のために、佐々木浩二氏が1985年に活動を開始。2002年にはNPO法人となって以来、アジアやアフリカへ救急車や医療機器等を送る人道的支援活動を展開。カンボジアでは、救急医療強化支援として、全国の公立病院で医療者向け講習会、カンボジア赤十字や青少年団体での救命講習会などを実施。また、社会的弱者支援、養護施設、マザーテレサの施設の支援も行う。
https://side-by-side-intl.org/

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