グラフィックデザイナーとして国内外で数々の賞を受賞してきた水谷さん。1999年からは一企業のためではなく地球を幸せにする仕事に取り組みたいと、『MERRY
PROJECT』を始動。〝笑顔は世界共通のコミュニケーション〞をテーマに、アート・デザインの力でMERRY(楽しいこと、幸せなとき、将来の夢など)の輪を広げるコミュニケーションプロジェクトです。これまで世界35ヶ国、50,000人以上の「笑顔」と「メッセージ」を集めてきました。
「笑顔」と「メッセージ」に込められた、1人ひとりのMERRYな想いと人・社会・地球を大切に思う気持ちは…国境を越えてつながっていきます。
~2007年、ひとつの記事から、北京オリンピックとの関わりが生まれることになりました。その記事には2008年の北京オリンピックの開会式を演出することになった世界的映画監督のチャン・イーモウさんが「開会式で使う子どもの笑顔の写真を世界中から募集している」とあったのです。『“世界中の子どもたちの笑顔”と言ったら、私しかいないでしょ(笑)』と。
ところが北京オリンピック委員会は、子どもたちの写真の使用にあたって出生証明書・住民票・両親の許諾書等々…5種類の書類が必要だと主張してきたのです。現実問題として、世界中の子どもたちからその全ての書類を用意するのは到底クリアできそうにない課題。水谷さんは、『そんなものは本物の笑顔ではない。発展途上国や難民など、貧しさや負の遺産を抱えている子どもたちこそ、平和の祭典のヒーローになるべきだ』と、何度も訴えました。
委員会の対応に業を煮やした水谷さんは、イーモウさんに直接会うため単身中国に乗り込むことに。「国家オリンピック式典運営センター」という開会式運営の心臓部にあたる場所で、外国人で入ったのは水谷さんが初めて。部屋に入ると…イーモウさんを始め、中国政府、法律家、内容を記録するカメラクルーなど、ズラッと10人位の面々が並んでいました。