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鈴木秀子 コラム鈴木秀子 コラム

芸術の秋

芸術の秋です。目に見える外の世界で、物事が思い通りスムーズにはかどり、体も健康で、周りの人たちもみんな良い人なら、もちろん都合が良いし、幸せで生きやすいかもしれません。けれども、それとは違う、目には見えない幸せが私たちにはあります。

あるアメリカでのエピソードです。学校の先生が「感謝するものを描こう」と子どもたちに絵を描かせました。みんな親御さんがくれた自転車や電車のおもちゃなど、自分がもらったものをいっぱい描いたのです。しかし、その中に一人だけ、無骨な手を描いた男の子がいました。友達は「神様の手かな。いっぱいおもちゃもらえるもんね」なんて言っていました。本人に聞くと、「先生の手」と答えました。実は家庭環境が良くなく周りと馴染めないその子の手を、いつも先生は握りしめていたのです。先生は、その時「感謝とはこれなんだ」と思いました。それは自分が感謝されたからではありません。それを言ってくれた男の子への感謝の気持ちが湧いてきたのです。子どもが感謝してくれるような何かが自分にはできる、それに感謝することが大切なのだ、と気付いたのです。芸術とは、普段目に見えないものに気付かせてくれる存在です。JWティーでも飲みながら、芸術の秋を楽しんでみてはいかがでしょうか。

聖心会せいしんかいシスター
鈴木 秀子先生

東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。フランス、イタリアに留学し、ハワイ大学、スタンフォード大学で教鞭をとる。聖心女子大学教授を経て、国際コミュニオン学会名誉会長。著書に『9つの性格エニアグラムで見つかる「本当の自分」と最良の人間関係』など多数。

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