季節的に5月は「母の日」、6月には「父の日」を迎えますね。これらの日は親に感謝をする日です。室町時代の和歌集『新後拾遺和歌集』の中に、こんな歌があります。“垂乳根のありていさめし言の葉はなきあとにこそ思ひしらるれ”(前大納言為氏)。垂乳根(たらちね=親)の忠告や意見をうるさいと思っていたが、親が亡くなった後でその言葉の有り難さを知ったという意味です。
私たちも日常では親の有り難さを身に沁みてないけれども、自分が苦しい時や親が亡くなった後などに、本当に親の温かさが分かります。「子を持って知る親の恩」という言葉もあるように、私たちの存在の根源は父と母から与えられています。いま何歳であれ、親が元気であろうと、亡くなっていようと、親の深い愛のたまものとして生かされているわけです。
母の日、父の日には、単に「ありがとう」と伝えるだけではなく、「私の中のこういうところがお父さんに似ている、お母さんに似ている。そして、そういう自分が好き」と手紙を書いてみてはいかがでしょうか。そうすることで親へ感謝を伝えるとともに、自分自身を見つめ直し、自己肯定感を高める日にもなります。親に感謝するとは、親から与えられた命がいきいきと幸せになることです。そのためにも自分を責めたり、人の真似をしたり比べたりせず、自分自身を受け入れ、しっかり自分で自分を幸せにしていくことが大切だと思います。