ジェイソン氏来日講演の舞台裏
EOS創業開始から半年が経った2003年9月、ジェイソン氏は日本を訪れた。その月に開催される『第1回サー・ジェイソン・ウィンターズ来日記念講演』のためだ。成田空港で出迎えの際には、スーツにネクタイというフォーマルな出で立ちのEOS社長・石川雄志に比べて、ジーパンとポロシャツというラフな格好をしていたジェイソン氏。石川を見て一言、ジェイソン氏は「雄志はネクタイをしてきたのか。今から自宅に帰って私もネクタイをしてこなければ」と来日早々にジョークを一つとばした。
講演当日、500人以上のEOS会員が一堂に会する初めての大舞台ということもあり、EOSスタッフの動きにも鬼気迫るものがあった。「絶対に成功させなければならない」「この講演会の成否が今後のEOSを占うだろう」と、まさに舞台裏は修羅場の様相を呈していたのである。そんな中、ジェイソン氏はある一言を投げ掛ける。「みんな、どんな顔をしているかな。笑顔とジョークを忘れないこと」。そして、満面の笑みをたたえたのだ。その瞬間、スタッフたちはハッと気付かされることになる。それは修羅場のような状況の中にこそ、笑顔やジョークが求められるのだということを。人は苦しさや悲しみが襲ってきた時、笑顔になることは難しく、普段生活している何倍ものパワーを必要とする。しかし、最も笑顔になれそうもない状況下でこそ、本当は笑顔が求められ、そのための準備を日頃からしておくことが大切だと気付かされた。そして、EOSスタッフは気持ちを静め、改めて心を一つにして、お互いに最大級の笑顔を持って取り組むことで初の大舞台を乗り切ったのだ。
また、第1回来日講演の準備・運営には、EOS創業時の会員の方々にも運営スタッフとして手伝っていただいた。彼らもEOSのお手伝いという姿勢ではなく、自分たちこそが新しいものを一緒につくっていくのだという気概に溢れていた。そして、このイベントはジェイソン氏と会員の方々との初めての出会いであり、図らずもお互いの大切な何かを確信できた場となった。ジェイソン氏からすれば、世界のどの国の人々よりもJWティーへの本質的理解を深め、体現している方々を目の当たりにし、感動したことだろう。会員の方々からすれば、ジェイソン氏の人としての大きさに触れ、「この人ならば信じられる」との確信を得たことだろう。このやりとりは、現場の活動に取り組む会員の皆様も日々経験している重要なことに違いない。商品を勧める際、お互いにこの商品を信じていいのか、この人に自分の大切なものを任せることができるのか、それと同じような心の交流がジェイソン氏とEOS会員との間で行われたのだ。
翌2004年には2回目となる来日講演が開催された。ジェイソン氏は講演後のパーティーの時、会場全員で静かにお茶を飲む中で「これでよし」と心の中でつぶやいた。そして、ジェイソン氏は最後の国である日本へJWティーを届けたことで、まるで自身に与えられた使命が完了したかのように、講演から帰国してわずか2週間後、米国ラスベガスで静かに息を引き取ることとなる。