チベットのことわざに「体の問題を解決するには心を動かせ、心の問題を解決するには体を動かせ」とあります。私たちは心と体を、あたりまえのように分けてとらえてしまいます。しかし、本来は心が体を作り、体が心を作るととらえたほうが、正しい見方ができるように感じます。
私たちは限界に挑むアスリート、冒険家の極限に挑む姿に心打たれます。また千日回峰行の僧侶の姿も一つです。その背後に私たちが認識しなければならないことがあります。身体の限界を支える精神力です。記録、限界を超える背後に何があるのか。偉業を作り出す背後に何があるのか。身体の限界は心の限界ともいえます。そこに“無我の境地”があります。限界をむかえ、あれこれ考えることなく、あるいは考えることすら出来なくなり、ひたすら心を空にする。すべての限界にあってこそ至る境地とも言えます。
心を空にし、ふと湧き上がる気づき、新たな発想、発見があることに気づきます。老子のいう無為自然、まさに心を空にし、自我を超えた無我に至り新たな世界がうまれます。