身体は食べ物で作られます。では、心は何で作られるのでしょうか。使う言葉で作られます。正確には日々の使う言葉で心は養われると考えます。美しい言葉は美しさを作ります。日本語の美しさは古来、『万葉集』の和歌や弘法大師の和讃※からも知ることができます。私たちは文化、都市、田園、生死すべてに美しい言葉の伝統を培ってきました。ルーマニアの作家エミール・シモンの言葉にこうあります。「私たちは、ある国に住むのではない。ある国語に住むのだ」と。
私たちの美しい日本語は、いつでも私たちが日本に回帰できるよう温かく見守りつづけています。どんな時代になっても私たちは日本語と暮らしつづけます。新しい文化と習慣を取り入れたとしても、日本語として精錬しつづけます。言葉の美しさは表現の美しさです。想像力の源泉が言葉です。思いは言葉となり未来を作ります。
※和讚…仏・菩薩、仏教の教義などを和語でほめたたえる讃歌。